嘘つきラビリンス

思わず驚いて顔をあげると、「ぷはっ、やっぱり!」と笑われて、私はまた視線を逸らして奥歯をギリッと噛み締めた。

だって、実際テーブルの下で親指の爪同士をガリガリ削ってたから。

もうすっかりマニキュアだって爪先から剥がれてて、その親指を手のひらに包んでギュッと両手を握った。


「金曜はちゃんと家に帰れた?」

「……だからここにいるんです」

「あの後、後悔してね。ちゃんと送ってあげるべきだったなって」


嘘つき。


「でもすぐに引き返す勇気も無くてね。君の泣いてる所は見たくなかったし」

「泣いてなんかないんで安心してください」

「それに、電話するにも着信拒否されたら辛いなって」

「しませんよ。仮にも先輩ですから」

「この週末ずっと恋羽の泣きそうな顔が離れなかったんだ」

「だから、泣いてなんかっ」

「俺ね、君のことが好きなんだって再確認させられたよ」

「――っ!?」