嘘つきラビリンス

「少し話があるんだ。大阪の件で」


私の先輩で、彼氏だった人。

スラッとした身長はスーツがよく似合う。

黒く真っ直ぐな髪を少し横に流して、切れ長の目で微笑めば誰しもカッコいいと思うだろう。


「今から昼ご飯食べようと思ってたんですけど?」


今だって休憩中なんだら先輩を立てる必要はない。

とはいえ、しがない会社員。


「それならどこかで食べながら話そうか」


そう言って彼は私に背を向けた。

ついて来ると確信してるんだろう。

なんて、自信過剰な男。


「……三峰、どーすんの?」


そんな若山君の声には舌打ちだってしたくなる。だけど、


「帰ってきたらコーヒー奢って」

「は? なんで俺が!」


私は彼の後ろを歩き始めた。