嘘つきラビリンス

さすがに日曜はトーマを待つことなくベッドに入った。

いつ帰ってきたのか私は知らない。

だけど起きてロフトを見ると低反発マットの上で寝袋をかけて寝てるトーマがちゃんといた。

なんとなく、起こさないように静かに支度する。

昨日買っておいたクロワッサンを少し暖めてコーヒーと一緒に頂く。

静かにしてるつもりだけどそれなりに音は出てしまう。

クロワッサンの焼きあがるチーンという音に驚いてロフトを見るけれど、寝袋にくるまったトーマは全く起きる気配がない。

ホッとしながらもコーヒーを口にして息を吐く。

さあ会社に行かなきゃ。

いつも通り、なにも無かったように。

鍵を持ってそっとドアを開ける。

パンプス履いて――。


「行ってらっしゃい、恋羽さん」


その声に驚いて顔を上げる。

だけど玄関からはロフトにいるトーマは見えないのに。


「行ってきます」


私はそう言って家を出た。