嘘つきラビリンス

「彼女にそんなの必要ないから、帰って?」

「え?」


その声に驚いたのは私だけじゃなくて、驚きの声は販売員とハモってしまった。

そして、私を後ろに押しのけて販売員と私の間に立つトーマ。


「見たら分かるでしょ? 恋羽さんは太ってもないし痩せすぎでもないの。そんなの必要ないから」

「ト、トーマ?」

「じゃあね」


冷たくそう言うとトーマはドアを閉めて鍵までかけてしまった。


「恋羽さんも!」

「はい!」

「ちゃんと相手を確かめてドア開けないと」

「あ、うん。ごめんなさい」

「要らないなら要らないってすぐにはっきり言わないと相手はなんでも買わせちゃうよ?」

「……だよね、だから、あっ!」


思い出した! あれ!


「あ、僕怒ってるわけじゃないから」

「うん、それでね、昔買わされたものがあってね」

「あぁ、やっぱり買わされてるんだね……」


呆れ顔のトーマを放っておいて私は寝室に駆け込んだ。