嘘つきラビリンス


「そんじゃ、行ってくるね?」

「え? あ、うん……」


思わず『どこに?』って聞きそうになった。

そうだ、彼は今から仕事だ。


「鍵はかけて出るから。あ、この鍵は僕が使うから恋羽さんはスペア使ってね? 『無くしたー』とかって探さないでね?」


そう言ってトーマが私の目の前にぶら下げたのは、天使のストラップが着いたこの家の鍵。


「って、いつの間に!?」

「可愛いね、この天使。恋羽さんみたい」

「ちょっ、返してよ!」

手を伸ばしたけれどふいっとかわされて、私の手は空をさ迷う。

そして、


「行ってきます。恋羽さんが仕事に行くまでには帰るから」

「ちょっ、トーマ!!」


トーマは素晴らしい笑顔を見せて部屋から出て行った。