嘘つきラビリンス

「――すぅ……」


トーマの寝息が聞こえて思わず首を引っ込めてしまった。

だけど彼に起きる気配は無くてまた顔を出す。

すぐ目の前にトーマの顔があってちょっとびっくりしたけど、彼は完全に眠っていた。

ふわふわな髪が穂にかかってる。

柔らかそう。

睫毛、長いなぁ。

鼻筋は通ってるし、整った顔してる。

カッコいいっていうのとは違うけど、可愛い?

男の子にこんな褒め言葉おかしいけど、可愛いって言うのがあってると思う。

学校いってたら絶対モテモテだと思うんだけどな。

それにお肌も10代ならではでピーンとしてるしハリがある。


「羨ましい……」


思わず呟いてしまって慌てて自分の口を押さえた。

違う。

こんなことを確かめるために来たんじゃない。

ブンブンと頭を振って大きく息を吐く。

よし。

ってそこまで気合入れるようなことじゃないけど、心の中でそう呟いてゆっくりと手を伸ばした。

触れるのはトーマじゃなくてトーマの寝袋。

ナイロン特有の冷たさが指先に伝わる。

つるんとした表面。

少しだけぎゅっと握ってみるけど、中は綿らしく簡単に潰れる。

これ……、クッション性なんて欠片もないじゃない!?