嘘つきラビリンス

それから一緒に家に帰って、気がついたことがある。


「ねぇ、待って」

「ん?」

「トーマの荷物ってこれだけ!?」


それは彼の荷物がボストンバックひとつだってことに。


「うん、そうだけど?」

「ってか家出!?」

「うーん、厳密には違うけど。ちゃんと働いてるし。あ、スーツはお店に置いてるの。靴とか商売道具もね。あと暮らしていくのに必要なものなんて、着替えと歯ブラシでしょ? 食べ物は買えばいいし……」


待って。

これって完全に家出なんじゃない!?

唖然とする私を置いてけぼりにして、


「ボストンバックひとつで必要なものは全部入るよ」


トーマはニコリと笑った。