嘘つきラビリンス

そんなに飲んだの? 私。

ってか、そんなお金かけたっていうのに全然覚えてないなんて。

……ううん、いいのよ、それで。

これはきっと神サマの思し召し、そういうことなんだ。


「恋羽さん?」


私はすくっと立ち上がってリビングに向かった。

ソファには私の鞄がある。

そこから取り出したのはあの封筒。

取りだして諭吉さんの人数を数える。

46、47、48、49、50。

それから自分の財布から5万円。


「はい、これでいいでしょ?」


振り返ってお金を差し出すと、驚くトーマがいた。


「ごめん。私、昨日のこと覚えてないの」

「え? どういう……」


正直にそう告げるとトーマはまるで捨て犬のような悲しい目を私に向けた。