嘘つきラビリンス

唖然としながらもグラスを受け取るとトーマがニコリと笑う。


「よかった。起きて『キミ誰?』って言われたらどうしよう? って思ってたから」


そう口にする彼は昨日の服とは違ってジーンズにTシャツというラフな格好。

って、ちょっと待って!

私ったらもしかしてひょっとしてよった勢いで――!?

手にした水を一気に飲み込んで辺りを見回す。

このベッド、うん、私のだ。

部屋だって私の部屋。

ドアの向こうには小さなキッチンが見える。

うん、間違い無く私の部屋だ。

そっと毛布を避けてみる。


「――ぷっ、あははっ! 何確認してんの!?」

「なっ!? だっ、だって!!!!」


こんな状況、誰だって確認したくなるでしょう!?

彼があまり盛大に笑うものだから、変に恥ずかしくなってくる。

そして、服をちゃーんと着てる状況に恥ずかしさは倍増だ。