嘘つきラビリンス

「意味分かんない」


ため息と共にそんな言葉を零して机の上に伏せてみる。


「またサボリか?」


これが課長の声なら背筋でも伸びるんだろうけど、若山君だから私はもう一度ため息を付くことが出来る。


「コーヒー奢ってよ」

「なんで俺が」

「さっき約束したでしょ?」

「お前が一方的にな」

「覚えてるなら奢って」


そう言うと若山君は「しゃーねーなー」とタバコを手にして歩き出したから、私も席を立つことにした。

若山君はタバコを吸う。

喫煙所は非常階段の踊り場にしか用意されてない。

そこに行く途中自販機に寄ってコーヒーをおごって貰った。

そして奢って貰った私は彼のタバコタイムにしばし付き合う。

こんな場所だから喫煙者であっても長居はしない。

だから今は若山君とふたりきりだ。