「宮本くん…! 先生全然気づかないから、笑っちゃったじゃん…!」
「藤田さん、笑すぎだよ。 先生、どこであんな糸くずつけてくるんだろーね」
知らないよー、なんて言っていたら、周りにみんなが寄ってきた。
「碧依、何笑ってたのー?」
「宮本くんもこっそり笑ってただろ」
「実はねー…」
先生の、と言おうとすると、宮本くんが口を開いた。
「いつもの先生と間違い探しだよ。 あ、あと、誰か俺に校舎案内してくれない?」
お前、今日はじめて来ただろ!という男子のツッコミに、笑いながら、そうだね。と答える宮本くん。
馴染むの早いなあ…。
「ツッコミより校舎案内がほしーんだけど」
宮本くんが笑いながら言う。
もっと話してみたいし、案内しようかな。
「…わたし、案内するよー!」
「じゃー俺も俺も。碧依に任せたら迷子になるだろうし」
「ならないし!」
そう言ったのは、私の幼馴染の瑞原春喜(みずはらはるき)。
昔から、学校もずっと一緒。 挙げ句の果てにクラスまでほとんど一緒。
最近はバンドを組んだりしてるらしくて、本人曰くモテはじめたとのこと。
「もう1人くらい一緒に行かない?」
4人だとキリいいし、と宮本くん。
「じ、じゃあ私もいいかな…?」
と手をあげたのは、園川椿(そのかわつばき)ちゃん。
あまり話した事はないけど、時々図書室とかで見かける。
真面目で、優しそうな子。
「行こ! 椿ちゃん!」
ゆっくり話したいし♪
「…じゃあ」
「昼休み、この4人で校舎探検!」
「探検って…小学生じゃあるまいし」
「うっせ」
「まあ、何はともあれ昼休みだね」
宮本くんの一言でその会話が締めくくられた。

