「宮本…君? よろしくね。 藤田碧依です」
「こちらこそ、藤田さん」
近くで見てみても、やっぱり美形。
こんな男子がモテるんだろうなあ、とふと思う。
「お前ら、前向けー。SHR始めるぞー」
委員長の号令で、SHRがはじまった。
普通に話を聞いていると、後ろからそっと耳打ちされる。
「藤田さん藤田さん。 先生の背中、見て」
そう言われ、先生の背中を見てみる。
「!」
とても大きな糸くずがついていて、思わず声を出して笑ってしまった。
「藤田ー、何がおかしいんだ」
「なんでもないです…!」
クラス中の視線が刺さるなか、後ろから小さな笑い声が聞こえてきた。
「宮本くん! 笑わせないで…!」
「…ごめんね? 藤田さん。 まさかそんな笑うとは思わなくて。 あとで、こっそり皆にも教えてあげようか」
それまでは、二人の秘密。
そう言って、宮本くんは人差し指を口に当てた。

