「転校生を紹介する」
先生のその一言で、教室はざわめきに包まれた。
それもそのはず。 だって、ドアを開けて入ってきたのは、驚くくらい綺麗なひと。
男の子に、綺麗なんて言ったら失礼かもしれないけれど、本当に顔立ちが整っている。
「じゃあ、簡単に自己紹介でもしてくれるか、宮本」
「はい、先生」
ミヤモト、と呼ばれた彼が声を発した瞬間、教室がしん、と静かになった。
「はじめまして、宮本爽汰です。気軽に話しかけてくれれば嬉しいです。よろしく」
柔らかくて、それでいて芯の通った低い声。
そんな声に聞き惚れていると、先生が席を指定していないことに気がついた。
ミヤモト君の席どこになるんだろう。
話してみたいなあ…なんて。

いま、教室に空いてる席は2つ。
私の後ろの席(いちばん後ろ)と、窓際の席。
前後になれたら、何を話そうかな。