そういえば、今朝の野々村さんの話も聞けず仕舞いだったから気にはなるが……
あのネックレスのことはもう忘れてしまおう…
気にするようなことじゃない。
たまたま、気が向いて…いや、ついでに買っただけのものじゃないか。



「アッシュ、それ、どこでみつけたの?
なかなか良いね!」

マイケルがアッシュのスマートフォンに手を伸ばした。
アッシュがスマートフォンに変えたのはもうずいぶん前のことなのに、なにを…と思ったらそうではなかった。



「良いでしょ?ほら、ここにオニキスが入ってるんだよね。
こういうのあんまり売ってないよね~…」

マイケルが気にしていたのは、どうやらアッシュが首から外したネックストラップの方だったようだ。



「革もしなやかで良いね。
でも、高かったんじゃないの?」

「あぁ、これはKEN-Gからのプレゼント。
あ……あのさ、KEN-Gにスマホの使い方を教えたお礼だってことで…
そ、そうだ、みんなの番号やメアドも教えたけど良いよね?」

「構わないよ。
それにしても、KEN-G、スマホ使ってるなんてすごいね!
やっぱり並のおじいさんとは違うね。」

マイケルの言う通りだ。
大河内さんは、普通の老人とはまるで違う。
高齢でも、気持ちは若者と変わらない。



(そんな所が、女性から見れば魅力的に感じられるのか…?)

ふと、そんな想いが頭をかすめ、それと同時に野々村さんの顔が浮かんだ。



やはり、今日のことを謝っておくべきか…
電話は少し照れ臭いから、メールで…
しかし、そんなことをしたら却って気にされてしまうだろうか?
そうだ、ブログのネタのついでという感じで書いておけば良いだろう…



俺は、野々村さんに送る画像を探しに、部屋に戻った。