赤い流れ星3

お酒が入ったせいか、その後はちょっとした会話にも笑いが混じるようになり、兄さんの機嫌もすっかり良くなったように感じられて、私もようやくほっとした。
兄さんの機嫌が悪いままだったら、とばっちりを受けるのは結局私達だもの。
おじいさんと兄さんが仲悪くなるのもいやだし、とにかく早いうちにおさまってくれて良かったよ。



「どれ…それじゃあ、そろそろ出掛けようかのう。」

「お腹も良い具合にすいてきたしね。
どんな料理が出るのか、楽しみだなぁ…
マイケル達も早く着替えておいでよ。」

「そうだな…」

兄さんとマイケルさんが立ち上がったその時だった。



「あ……カズ…河本さんの件……」

「え……河本さん?あ……そうだ!変更があったんだよな!
まずい…あの件は今日中に仕上げなきゃいけないんだ。
すみません、大河内さん……俺、大切な仕事を忘れてました。
今からすぐに戻らないと…」

「カズ…僕も行くよ。」

「……え?」

兄さんは驚いたような顔で、マイケルさんをじっとみつめた。



「良いよ。頑張れば俺一人でなんとかなるから。」

「でも、二人でやった方が早いじゃない。
カズ、とにかく早く着替えて来よう。
アッシュ…そういうわけだから僕達はいけないけど、皆のことよろしく頼んだよ!」

「ボクは行かなくて良いの?」

「二人で十分だ。」

「お…おい、マイケル…」

兄さんは、すでに歩き始めたマイケルさんの後を小走りで追い掛けた。



「あれ~…あの件、変更になったんだ…
ボク、聞いてなかったなぁ…」

アッシュさんは、そんな独り言を言いながら、しきりに首をひねっていた。