「おかしなことを言わないで下さいよ。
美幸ちゃんには、ただ、恋人の振りをしてもらってるだけです。
好きとか嫌いだとか、そんな感情はありません。
今までの彼女とも全然違うタイプですし、そもそも俺と合うタイプじゃないんですよ。
カズさんなら、そのくらいのこと、わかるでしょう？」

「確かに、おまえの歴代の彼女達とはまるでタイプが違うな。
だからこそ、不思議なんだ。
彼女の振りをしてもらうなら、なぜそういう者に頼まなかった？」

「それには、事情があるんですよ。
タカミーが寄ってきた時、美幸ちゃんが気を利かせて、俺に告白する振りをしてくれた。
だから、成り行きでそうなったんです。」

「成り行きか……」

カズさんはクスリと笑った。
なぜ、そんなに気になるんだろう？



「もしかして、美幸ちゃんは本気だったんじゃないか？」

「そんなこと、ありませんって。」

「だけど、和彦はそう思ってるみたいだけど…」

「そんなの、カズの思い込みですよ。
美幸ちゃんは、現にうちのホストとしばらく付き合ってたんです。
純平とです。」

「でも、もう別れたんだろ？」

「それはそうですが…」

酔っているのか？
今日のカズさんは、やけにしつこい。
カズのやつ、つまらないことを言いやがって。