「初めまして。美幸の父でございます。この度は美幸がお世話になり、どうもありがとうございます。」

「美幸の母です。」

「初めまして。わしは大河内という者です。
美幸さんや和彦さんには、いつもよくしていただいております。」



次の日、おじいさんが時間を作ってくれたので、父さんと母さんがおじいさんの家に押しかけた。



「さぁ、どうぞ。
ここが、美幸さんの部屋です。
最初、二階の客間にしたらどうかと言うたんですが、和彦さんがこっちで良いと言われたもので…」

「あのね、客間は三部屋あって、ここよりもうんと広いんだ。
だから、兄さんがこっちで良いって。」

私は焦って言い訳した。



「まぁ、ここも十分、広いじゃないの。日当たりも良いし、気持ちの良いお部屋ね。」

「意外と綺麗にしてるじゃないか。」



父さん、甘いね。
まだ引っ越してきて間もないし、昨夜は頑張って片付けたんだよ。
そうじゃなきゃ、こんなに綺麗なはずないよ。



「あっちの二部屋が家政婦さん達の部屋なんだ。
隣の部屋は空き部屋。」

「こんなに良い部屋に住まわせて下さり、どうもありがとうございます。」

「いやいや、美幸さんが来て下さり、わしも嬉しいんですよ。
時間のある時は一緒にご飯を食べたり、話し相手にもなって下さいますからな。」



二人とも、おじいさんには好印象を持ったみたいだ。
おじいさんはいつもにこにこして、嫌な人には見えないもんね。