「生活費の問題は本当にない。
でも、一応、生命保険には入っておくよ。
いつ、なにがあっても大丈夫なように。
家も、の、美咲…さんの持ち家だし、駐車場の収入もあるんだ。
だから、まず、問題ない。」

「あの家は美咲さんの持ち家だったのかい。
あの広さなら、子供が大きくなっても大丈夫だろうけど、古くなったら建て替えないといけないかもしれないから、お金は貯めとくんだよ。」

「うん、そうだね。」



兄さんと母さんの会話はなんとなく良い感じになって来て、私はほっとして胸を撫で下ろした。
父さんもにこにこしてた。
そうだよね。家族がいがみ合うのは嫌だもんね。
いつもこんな風に穏やかだと良いのに。



「あ、あのね、母さん…」

「何なの?」

「野々村…あ、美咲さんはね、私がこっちに来て、初めて出来た友達なんだ。」

なぜだかそのことを伝えたくて、私は恐る恐る口を開いた。



「そうなの?
年がだいぶ違うんだろ?」

「うん、だけど、友達なんだ。
初めてお泊まりをしたのも、美咲さんの家なんだ。
美咲さんは良い人だから、母さんも優しくしてあげて。」

「……そうか、わかったよ。」

言いたいことが言えて、なんだか胸がいっぱいになった。