「皆でこうやって、ご飯を食べるのは久しぶりだな。
今年は美咲さんも増えたし、賑やかで良いな。」

仕出しのお弁当をいただきながら、お義父さんがそうおっしゃった。
まるでお通夜みたいに静かなのに。



「よ、よろしくお願いします。」

何も言わないのもなんだと思い、私は引きつった笑みを浮かべながら、無理やりそう言った。



「こ、ここのお弁当美味しいね。
お刺身も新鮮。」

「そ、そうですね。」

美幸さんもきっと気を遣って下さったんだと思う。
だけど、その後はまた静まり返り、ただ皆の咀嚼する音だけが響いていた。
本当にいたたまれない時間だった。
せっかくの美味しいはずのお弁当も、味なんて全くわからなかった。



「これからどうする？観光でもする？」

食べ終えて、お茶をお出しした時に和彦さんが訊かれた。



「ホテルで休むわ。」

「せっかくここまで来たのにもったいないじゃないか。
和彦にどこか連れて行ってもらおう。」

「……美幸の住んでる所は行けないの？」

「……電話してみるよ。」



KEN-Gさんに電話をかけられたけど、どうやら出られなかったみたい。
結局、美幸さんも観光に連れられて行ってしまった。