「一応、どんな所に住んでるのか、見せてほしいんだけど。」

「わかったよ。大河内さんに話しとく。」

「自炊は出来るの?」

急に問いかけられた美幸さんは、ビクッと背中を波打たせた。



「あ、あの…ついでだからって、家政婦さんが作ってくれてる。」

「まぁ……」

お母さんは咎めるような目で、美幸さんを見られた。



「だから、何の不自由もない。
朝は俺が車で迎えに行ってるし、心配はいらないから。」

「えらく過保護なのね。」

「嫌なら、自転車でも買って、それで行かせるよ。」

「別に、嫌だなんて言ってないわ。」



いつもこんな調子なんだろうか?
なんとも話しにくい。
申し訳ないけど、別居で良かったと思った。
でも、この先のことはわからない。
もし、お義母さんが体を壊すようなことがあったら、同居しないといけないのかしら。
どうかそんなことにはなりませんように。



その時、玄関のチャイムが鳴った。
きっと、仕出し屋さんだ。



「あ、美幸さんも来て下さい。」

「うん、わかった。」

私達はそそくさと玄関に向かった。