「こんにちは。体調はどうですか?」

「は、はい。大丈夫です。」



次の日、青木さんが一人でお見舞いに来て下さった。
綺麗なお花を持って。



「野々村さん、単刀直入にお訊ねしますが…生まれたのは俺の子供ですか?」

「え…そ、それは…」



どうしよう?
どう答えたら良い?
鼓動が早くなり、汗が流れる。



「あの時の子供、なんですよね?」



青木さんにはバレてるみたいだ。
どうしよう?
何か言い繕えるだろうか?
嘘を吐いた方が良い?
でも、下手な嘘を青木さんが信じてくださるだろうか。



「ご、ごめんなさい。」

そう言った途端に涙が零れた。



「なぜ、謝るんですか?」

「わ、私…どうしても子供が産みたくて…
わ、わかってます、そんなのだめですよね。
でも、青木さんには絶対にご迷惑をおかけしませんから。」

「迷惑?
子供が出来たら、俺が怒ると思ったんですか?迷惑だと言うと思ったんですか?」

畳み掛けるような問いかけには、明らかに怒りの感情が含まれていた。
目も怖い。



「こ、子供は私一人で育てます。
本当に、絶対に迷惑はかけませ…」

「野々村さん!!」

「は、はい。」

「俺、一言でも言いましたか?
迷惑だって。」

「え?」

青木さんの言葉の意味がわからなかった。