しばらく家はあのままにして、もう少ししたら、スマホを替えてしまおう。
そしたら、もう青木さんとも美幸さんとも連絡は取れない。



とりあえず、出産まではここにいて、その後のことはまた考えよう。
出来るだけ離れたくはないけれど、
ここは近すぎる。
どこかで出会うこともあるかもしれないから。



両親のおかげで、贅沢さえしなければなんとか食べていける。
子供が少し大きくなったら、また働けば良い。



とにかく、今は無事に子供を産むことだけは考えよう。
だいぶ、お腹が大きくなってきた。
驚いたことに、双子らしい。
二人分なんだから、そりゃあお腹も大きくなるわよね。



「あれ?野々村さん、最近、太った?」



美幸さんにそう言われた時、もうだめだと思った。
その頃はまだお腹も目立たなかったはずなのに、周りからは太って見えてるんだってわかって、咄嗟に嘘を吐いた。
親戚の用が有るって嘘をついて、皆から離れた。
離れたくはなかったけれど、バレたら大変だから。



騙してごめんなさい。
自分勝手だとは思うけど、今回だけは許して下さい。
授かった宝物を私から奪わないで。