『ご迷惑をおかけしました。
昨夜はなんだか楽しくて、飲みすぎてしまったようです。
バーで飲んでいた以降の記憶が全くないんです。
何か、野々村さんに失礼なことをしませんでしたか?』

あまり遅くなってもまずいと思い、俺はなんとか返信した。



『失礼なことなんて何もありませんでしたよ。
とても楽しいお酒でしたね。』



すぐにまた返信が来た。
これを読む限り、野々村さんは俺に対して怒っている風ではない。
ということは…彼女は俺と割り切った付き合いをしようとしてるのか?
いや、あの野々村さんに限って、それは無いと思う。
あの人はそんなことが出来るタイプではない。
それに、もしそうだとしたら、俺が目覚める前に去ってしまうのも変だ。



ますます、野々村さんのことがわからなくなった。
でも、ストレートに訊ねるようなことは出来ない。




『また飲みに行きましょう。
今度は酔い潰れたりしませんから。』

『はい、ぜひ。』



どうしてだ?
文字だけだからよくわからないが、野々村さんは至って普通だ。
昨夜、何事もなかったみたいに。



だんだんよく分からなくなってきた。
あれは確かに夢では無かった。
そう思うが、その考えが間違いなんだろうか?
まるで、狐につままれたような気分だった。