「なんだって!?」

「だ、だからね…
私とシュウさんが付き合ってるっていうのは、タカミーさんを避けるためなんだよ。
だいたい、私とシュウさんが釣り合うと思う?」

「そ、そりゃあ…まぁ…」



なんてことだ。
美幸とシュウが付き合うっていうことには、そんなからくりがあったとは…
言われてみれば、そりゃそうだ。
そんなことでもない限り、美幸とシュウが付き合うことにはならないだろうな。



「そ、それでね。
今度は、タカミーさん、兄さん一筋になったじゃない?
それは気の毒だから、兄さんと野々村さんが付き合うことになったって言ったらどうかって、シュウさんが…」

「お、俺と野々村さんが…?」

美幸がおかしなことを言うから、動揺してしまった。



確かに、そうすれば、タカミーにつきまとわれることはなくなるかもしれない。
でも、そんなことで野々村さんを利用して良いものか…?



そうでなくても、そんな話をするのは気まずい。
なんたって、沖縄で野々村さんに告白されたばかりなんだから。



「……兄さん?」

「あ…あぁ、しばらく考えてみる。
そんなことより、おまえ…早めに寝とけよ。
明日から仕事なんだからな。」

「……わかってるよ。」

美幸はどこか不貞腐れたような顔をして、去って行った。