「ただいま!」

しばらくすると、シュウと美幸が帰って来た。



「ねぇねぇ、シュウ…美幸ちゃんと付き合うことになったんだって?」

アッシュがストレートにシュウに訊ねる。



「え?もう知ってるんだ。情報、早いな。」

シュウは隠すことも照れることもなんともなく、そんな風に答えた。
美幸はというと、シュウの後ろで俯いて小さくなってる。



「わぁ、本当なんだね。
美幸ちゃん、おめでとう、良かったね!」

「あ、ありがとうございます。」

美幸は俯いたままそう言った。



「タカミーは?」

「落ち込んで部屋で寝てるよ。」

「そっか、それは悪いことをしたな。」

シュウはそう言って笑う。



「カズ…そういうことだから、よろしくな。」

「えっ!?あ、あぁ、こちらこそよろしく頼むな。」

えらく軽い口調に少々むっとしたが、一応、俺は当たり障りのない返事をした。
シュウは、美幸にとっては、本来なら手が届かないような相手だ。
そんな相手と付き合えるのだから、多くを望んではいけないということか。
シュウと美幸が付き合うことは嬉しいことのはずなのに、なぜだか心からはそう思えないのが、自分でも不思議だった。