「今回の旅行はいかがでしたか?」

「はい。とても楽しませていただきました。
旅行なんて、滅多に行ったことがありませんでしたし、沖縄も初めてでしたし、リラックスも出来ましたし、言うことなしの旅行でした。」

「そうでしたか。喜んでいただけて良かったです。
美幸とずっと同じ部屋で過ごすのは気詰まりではありませんでしたか?
しかも、今回は大人数での合宿みたいなものでしたし。
野々村さんは普段お一人で静かに暮らしてらっしゃるから、大丈夫かな?って、ちょっと心配していたのですが…」

「あ、あぁ…それなら全然大丈夫でした。
確かに、いつもとはだいぶ違う環境でしたが、気心の知れた方ばかりだったせいか、とても楽しかったです。」



それは嘘ではなかった。
確かに、ちょっと緊張はあったけど、緊張よりも楽しい気分の方が断然大きかった。



「それは良かったです。
この旅行が、野々村さんの楽しい思い出のひとつになったなら、俺もとても嬉しいです。」



(言わなきゃ…今、ここで言わなかったら、きっとこれ以上のチャンスはない。
今、美幸さんはシュウさんと一緒だから、美幸さんも頑張ってらっしゃるはずだし…
思い切って言ってしまおう。結果はわかってるんだし、とにかく早く済ませてしまおう…)



「は、はい…ありがとうございます。
そ、それで、青木さん…
わ、私、青木さんに伝えたいことがあるんですが…」

「伝えたいこと…?何ですか?」

「わ、私…そ、その…」

青木さんは、黙って私の方を見てらっしゃる。
恥ずかしいから私は目を伏せて、息を吸い込み…



「私…青木さんが好きです。」

……言ってしまった。
あまりにもストレートに……
青木さんの反応が怖くて、私は顔があげられなかった。