赤い流れ星3

「どんな人って…
その方を想ってのことなら、誰でも言って良いんじゃないですか?」

「そうかな?
野々村さんなら、誰にでも言える?」

「いえ……確かに言いにくいっていうのはありますよね。
ある程度、二人の間に信頼関係がないとやっぱり言いにくいものですし、言っても聞いてもらえないかもしれませんね。」

「……だよね。信頼関係は必要だよね…」



私とシュウさんの間には、信頼関係なんてない。
兄さんとか、おじいさんの方がずっと信頼されてると思う。
そうでなくても私は、信頼されるタイプとはちょっと違うと思う。



だよね、だよね。
私は、兄さんの会社で働かせてもらって、家にも住まわせてもらって、それだけでも頼りないやつだよね。
じゃあ、シュウさんに信頼してもらおうと思ったら、私はそこからスタートしなきゃいけないわけか。
でも、出来る??
どこかに就職して、家を借りて一人で生活して…
いや、どう考えてもそんなの無理そうな気がするよ…



「……美幸さん?どうかされましたか?」

「え?い、いや…私は誰からも信頼されてないだろうなと思って…」

「そんなことありませんよ。
私は、美幸さんのことを信頼してますよ。」



野々村さんは本当に優しいよね。
そんな心にもないことを言ってくれて…
でも、自分のことはわかってる。
私は、信頼に値するような人間じゃないよ。
なんとも返事がしにくくて、私は曖昧に微笑んだ。