赤い流れ星３

「青木さん……？」

「え？」

野々村さんが、不思議そうな顔をして俺を見ていた。



「あ……思い出してたんです。
シュウとふたりで旅行に行った時のことを…」

「シュウさんとお二人で？」

「……そうなんです。」

確か、野々村さんにはあの旅行の話はしてないはずだ。
あの頃の話はしたにはしたが、それほど詳しい話はしなかったと思う。



「美幸さんは行かれなかったんですか？」

確かに、そう思うだろうな。



「ええ…あの頃、美幸はバイトをしてましたから。
それに、旅行とはいえ、楽しいものではなかったんです。
あることを調べるために行っただけで、シュウと美幸を二人っきりにしないようにとシュウを連れて行っただけなんですよ。」

「そうなんですか。」

いつか、野々村さんにも話そうか。
あの赤い流れ星の奇跡の話を。
だけど、あんな話…聞いても苦しくなるだけだ。
やはり、話さない方が良いのかもしれない。



「やっぱり、旅行っていうのは、非日常なのかもしれませんね。
その旅行で、シュウとちょっと仲良くなれたっていうのか…
あいつのことが理解出来たような気がしました。」

「それは良かったですね。」

野々村さんの笑顔に、俺も同じように笑みを返した。