赤い流れ星3

(あ……!)

困り果てた私の頭に、突如ひらめいたグッドアイディア!



「それに、大河内のおじいさんにも…!」

「……大河内さんだって?」

我ながら、とても良い答えだ。
おじいさんならこの前お世話になったっていう理由があるから不自然なことはないし、その上、それを渡すって名目で野々村さんとおじいさんを合わせることだって出来る!
私って…もしかして、天才ですか!?
心の中で浮かれる私とは裏腹に、なぜだか、兄さんの眉間には深い皺が刻まれた。



「おまえなぁ…こんな所の土産なんか買っても、大河内さんが喜ぶはずないだろ。」

「そんなことないよ~
あのおじいさんならきっと喜んでくれるよ。
ね!野々村さんもそう思うよね?
あ、そうだ…私だけじゃ渡すの恥ずかしいから、野々村さんもおじいさんにお土産買ってよ。」

「え……?あ……そ…そうですね!
たいしたことは出来ませんが、お土産……ええ、良いですね!買いましょう!」

「う…うん!」



ちょっとびっくりする程、野々村さんの態度は一転した。
野々村さん…そんなにおじいさんのことを…!?
わかりやす過ぎるよ…
私みたいな恋愛経験のひとつもない鈍感な女にも、野々村さんが恋してることがわかるよ。
だって、おじいさんにお土産を買うってだけで、さっきまでの顔と全然違うんだもん。







「きっと気に入ってくれると思うよ。」

私はおじいさんにキャラクターの絵柄の可愛い缶に入ったクッキーを買って、野々村さんはぬいぐるみを買った。
アッシュさんも便乗してふかふかの耳付きの帽子を買って、選ぶ時から三人でけっこう盛りあがったんだけど、兄さんだけが浮かない顔で…
大河内さんは大金持ちなんだからそんなつまらないものは喜ばないとかなんとかしつこくぶつぶつ言って…

そんなこと、私だってわかってるよ。
喜んでくれなくたって構わない。
私は、野々村さんの恋を応援したいだけなんだから!
でも、そんな事言ったら、おまえは他人のことより自分の心配をしろって怒られるに決まってる。
だから、兄さんには言えない…
野々村さんのことは、これからもこっそり応援することにしようと、私は心の中で誓った。