「野々村さんは、運命論者なんですか?」

「い、いえ…そういうわけでは…
とにかく、難しすぎて私にはよくわかりません。」



よくわからないだなんて、なんか格好悪いけど…
本当に私にはわからなかったから、そうとしか言えなかった。



「……そうですよね。
本当のことなんて、わかるはずがない。
本当に自分で考えて行動してるのか、自分で考えて行動してると本人が思ってるだけで、実際は、あらかじめ決められた運命の通りに動いてるだけなのか……」

そう話された青木さんの表情は、どこか寂し気に見えた。



「あ、あの…小説の世界の人は、どんな設定だって受け入れるってことでしたが…
すごいですよね。
たとえば、幸せな設定だったら良いですが、そうじゃない設定でも受け入れられるっていうのは、勇気があるというか……なんか、すごいなって思います。」

「それは…設定は絶対的なもので、変えられないということをみんな知ってるからじゃないでしょうか?」

「あ……そうですね。」

ちょっと気まずかったから、話を変えようとしたのに、却って、墓穴を掘ってしまったみたい。
あぁ、本当に私って話が下手だ…と、自己嫌悪に陥った。