(なんだろう?この胸のざわめきは…)



ひかりがさしていた指輪…
それを見ているとなんだか心が騒ぐ。
それに、大河内のじいさんや美咲さんもこれを見た時、涙ぐんでいた。



何なんだ?
この指輪に一体何があるっていうんだ!?



「……シュウさん?」

「え?あ…すまない。」

俺は、ひかりの手を離した。



どこにでもありそうな淡いピンクの指輪…
確か、パワーストーンの一種だとか言ってた。
まぁ、石はどれでもある種のエネルギーを持ってるとは聞くが…



「なんだよ、シュウ…
その指輪が気になるのか?」

「い、いや…可愛いなって思っただけだ。」

俺は、ジョーの言葉を適当にあしらった。



「ひかりちゃん…純平が来れなくて悪かったね。」

「い、いえ、そんなこと…」

ひかりはそう言ったっきり俯いてしまい、俺もなんだか気まずくてそっぽを向いた。



「……どうかしたの?」

「い、いえ……その……」

ひかりは歯切れの悪い言葉を口にして、さらに深く俯いた。
ジョーが、それを見て俺の方に視線を移した。
まるで、今の状況を説明しろとでも言いたげな顔で…



「……ひかりちゃんと純平とは…その…なんだ。」

「純平とどうしたって?」

はっきり言って良いものかどうかと、迷う俺の横からひかりが口を挟んだ。



「わ、私…純平君とはもう……」

「え?」

「だから……」

「あ……あぁ…そっか…
そういうこと…
でも、どうして?
やっぱりあの事件のせい?」

もうやめろと言いたかったが、ジョーはさらに質問を重ねた。



「私達…最初から友達みたいなものでしたから…」

ひかりは、まるで叱られた子供みたいにしょげた顔して俯いたまま、小さな声で囁いた。



「そっか…
ごめん、ごめん。くだらないこと聞いちゃって。」

「い、いえ、私が悪いんです…」

相変わらず暗い顔をしているひかりに、俺は何とも言えない気分になった。