(一体、なにが…?)



ジョーと他愛ない会話を交わしながらも、頭の中では別のことを考えていた。



(なんであんなにかっとしたんだろう?)



そう、それはついさっきのこと。
ひかりとなんとなく話していたら、純平の話になって…



あいつは、まるで純平への愛が冷めたような言い方をした。
純平は俺の大切な仲間だ。
その仲間のことをそんな風に言われたら、そりゃあ良い気はしない…



(でも……)



それだけじゃあないことを俺は気付いていた。



そう…なんとなくほっとしたような…
なぜだかそんな気持ちを感じ、そのことが俺を苛立たせた。



(俺はなんでこんな気持ちを…)



苛立ったまま、俺はひかりの傍を離れた。
ひかりの顔がまともに見られなかったんだ。
まるで、ガキみたいだと自己嫌悪に陥った。
だけど、そんな気持ちを悟られないように俺は平静を装って…



「……シュウ…?
どうかしたのか?
……シュウ!」

「え?あ、なんか言ったか?」

「なに、ぼーっとしてるんだよ。」

「あ、すまん。ちょっと考え事してた。
ほら、翔馬のことが気になって…」



俺は咄嗟に新人の名前を出して誤魔化した。
考え事に没頭してしまってたようだ。



「大丈夫だ。翔馬のことなら、純平がちゃんとやってくれてるから心配ないって。」

「そ、そうだな。
あいつに任しておいたら心配はないが…あいつも新人の指導ばかりでいやになってるんじゃないだろうか?」

「そんなことないさ。
あいつは、どちらかというと裏方の仕事の方が得意だし…って、そんなことはあんただってわかってるだろ?」

「まぁ、そうだけどな。
こういう場所にも呼んでやらなくて悪いかなとか思ってさ。」

「あぁ、ひかりちゃんのことを考えてるのか?
ま、今日会えなくても、会おうと思ったらいつだって会えるんじゃないか?」

「……そりゃあ、そうだな。」

なにげない素振りをして俺はそんなことをジョーと話しあった。
純平の名前が出ただけで、動揺してる心を隠して…