「さっきは突然すまなかった。
二人がやって来て、皆にも謝りたいって言うもんで…」

「良いんじゃよ。
ひかりもあれでこの件はもう良いんじゃな?」

「……うん。
さっきも言ったけど、私はなんともなかったんだし…」

ショックはあったかもしれないが、早めに決着が着いて良かったのかもしれない。



「シュウさん…ゆみさんはこれからも店に来はるんですか?」

「さぁ、どうかな。俺は来てもかまわないと言ったが、純平がどう言ったかは知らないし、ゆみがどう考えるかはわからないからな。
ただ、ひかりちゃんに危害が及ぶようなことはもう絶対にさせないから、それだけは信じてくれ。」

「は、はい…」

美幸は緊張した顔をしながら、ゆっくりと頷く。
そういえば、さっき、あいつはなぜあんなことを言ったんだろう?
純平とは友達のようなものだ…なんて…
やはり、あの女が怖いのか?
だから、あんなことを…?



「さぁ、それじゃあ、まずは乾杯じゃ!
シュウの退院を祝って、乾杯しようじゃないか!」

慎二がシャンパンの栓を景気良く抜き、皆のグラスに注いで回る。



「シュウ、退院おめでとう!」

「おめでとう!」

「シュウさん、おめでとう!」

グラスを合せる繊細な音があちこちで響いた。



ふと、美幸がシュウをみつめていることに気付いた。
なんだろう…とても熱い視線だ。
もしや、以前の記憶が戻ったのか?と思ったりもしたが、そんなことはあるはずがない。
談笑するシュウを、美幸は一心にみつめている…



「じゃあ、すまないけどちょっと回って来るから…」

そう言って、シュウが立ち上ると、美幸はようやく視線を外した。



(どうしたんだ、美幸…
どうして、そんなにシュウのことを…?)