「なに、シュウが?
それは良かった。」

俺は早速、大河内さんにシュウの退院のことを話した。



「なんでも、退院早々働くみたいですよ。
本当にあいつらしいですね。」

「そうかそうか、また退院祝いをせねばならんな。
どうじゃ、明日、早速押しかけるか?」

「俺なら大丈夫ですよ。」

「そうか、ならば、明日、早速押しかけよう。
VIPルームはそう頻繁には使われておらんようじゃから、予約せずに行って驚かせてやろう!」

すぐに話は決まり、俺は電話を切ると、すぐに野々村さんに電話をかけた。



「了解しました。
では、明日、お店の前でお待ちしています。
ところで…ひかりさんは大丈夫ですか?」

「美幸がどうかしましたか?」

「あ、あんなことがあったので、お店に行くのが大丈夫かなって…」

「え……?」

兄のくせに、うかつだった。
そうだ、シュウのお蔭で美幸は無傷だったとはいえ、美幸は怖い想いをしたんだ。
だからこそ、店に行くとその時の恐怖をまた思い出すんじゃないかと、野々村さんは考えてくれたんだ。
俺はそんな美幸の気持ちを考えていなかった。



「ありがとう、野々村さん…
あいつには、そこのところを聞いてから、どうするか決めさせます。」







「美幸…明日、シュウの退院祝いに店に行かないかって大河内さんが言ってるんだけど…おまえ、どうする?」

「え?
みんなが行くなら行くけど…」

「大丈夫なのか?」

「うん…大丈夫だよ。」

美幸はどこか躊躇いがちにそう答えた。



「本当に大丈夫なのか?
もしいやなら明日じゃなくても…」

「大丈夫だよ。
私も行くから…!」

美幸はいつになく強い口調でそう言った。



「わかった。
じゃあ、明日、仕事が終わったら一緒に行こう。」