「シュウさん…お仕事はいつ頃から復帰されるんですか?」

「もちろん明日の晩からだ。」

「明日って…退院してすぐに働くんですか?」

「あぁ…何日も休んでたら、身体がすっかりなまってしまった。
そうでなくても、早く働きたくてうずうずしてたんだ。」

シュウさん、無理してる…
でも、働きたくてたまらなかったっていうのは本当のことかもしれない。
シュウさんの残された時間はあと少ししかないんだもの…
きっと、一日でも早く戻りたいって思ってたはずだ。
でも、あんなハードな仕事…大丈夫なのかな?



「あんまり無理しないで下さいよ。」

「もうすっかり大丈夫だ。
カズにもそう言っといてくれ。」

シュウさん、どこまで意地っ張りなんだろう…
やっぱり、シュウさんは最後まで私達には言わないつもりなのかもしれない。
話すのはきっとジョーさんだけ。
私達には何も言わずに平気な顔で過ごし続ける気なんだと思う。



「そうですか。
あの…私、またお店に遊びに行っても良いですか?」

「当たり前だろ。
いつでも来てくれ。」

「でも…あんなことがあったのに…」

「あれはお前のせいじゃない。
だから、あんなことは何も気にしなくて良いんだ。」

そう言ったシュウさんの顔は本当に優しかった。



「そういえば…あの人はどうなったんですか?」

「示談ですませようと思ってる。
被害届は出さないつもりだ。
あの子も悪意があってやったことではないし、傷もたいしたことなかったんだ。
だから、大事にはしたくない。」

「そうですか……」

「不服か?」

「いえ、そんな…」

不服なんてない。
あの人の気持ちもなんとなくわかるし、シュウさんがそれで良いのなら、私は何も言うことはなかった。