「それで…どうするつもりなんだ?」

「どうするって…決まったものは仕方がないだろう。
俺の意志でどうこうできるもんじゃないし…」

「そりゃあそうだが…」

「くよくよしたって仕方ないからな。」



なんとか戻って来た病室の前で、私はジョーさんとシュウさんの会話を聞いた。
シュウさんは早速、さっきの話をジョーさんに話したようだった。



私はどんな顔をすれば良いのかわからなくて…
でも、部屋にバッグを置いたままだったから、そのまま帰るわけにもいかず…



(さぁ、行くぞ!)



自分に気合いを入れて、私は平静を装い、部屋に戻った。



「あ、ひかりちゃん。」

「シュウさんが見つかってよかったですね。」

「そういえば、なんで俺が四階にいるってわかったんだ?」

「カンです。」

「すごいカンだな。」

シュウさんも平静を装っていた。
でも、やっぱりいつもとは違う。
どこか表情が曇ってる。



「シュウさんの元気な顔も見れたことだし、じゃあ、私はそろそろ帰りますね。」

「え?今日はケーキは良いのか?」

「はい、たまには早めに行かないと、兄さんに怒られますから。」

「そうか、じゃあ、気をつけてな。」

「はい、では、失礼します。」

わざと明るい顔をして、私は部屋を出た。
でも、病室を出て、エレベーターに乗る頃には、涙が込み上げて来て…
とても堪えきれないと思ったから、私はトイレの個室にこもって涙を流した。



シュウさんが…あのシュウさんがあと一年の命だなんて……



信じられない気持ちと、これが現実なんだと言う気持ちがせめぎあい、ただただ怖くて悲しくてたまらなかった。