赤い流れ星3





「ひかりちゃん、今日も来てくれたんだね、ありがとう。」

次の日、またいつものように私はシュウさんのお見舞いに行った。
だけど、シュウさんは部屋にはいなくて、一人でシュウさんの帰りを待ってたら、そこへジョーさんがやって来た。



「い、いえ、勝手に来てるだけですから…」

「ところで、シュウを知りませんか?」

「私が来た時もいらっしゃらなかったんです。」

「そうなんですか。どこに行ったのかな?」

「あ、私、見てきます。」

ジョーさんと二人っきりでいるのも気詰まりだと思って、飛び出したのは良いけれど、探すあてはない。
病院は広いし、検査もどこでやってるのやら…



(あ、そういえば…)



確か、昨日、四階で検査がどうのこうのって聞いたことを思い出した。
だからって、そこにいるとは限らないけど、とりあえず四階に行って適当に歩いてるうちに、私は一際目立つあの部屋着をみつけた!



(あ、シュウさん!)



シュウさんは私が声をかける前に曲がり角を曲がってしまった。
私は走ってそれを追いかけたけど、廊下にはもう誰もいなかった。
そこにはいくつかの部屋があって…



「残念ですが…」



通りすぎようとした扉の中から聞こえた声に、ふと私の足が停まった。



「腫瘍は良くないものでした。あなたに残された時間はおよそ一年…」



(何??
腫瘍…?一年って…?)



ガタンという物音に、私はあわてて走り出した。



今、立ち聞きしまった言葉が頭の中でぐるぐるとまわり、鼓動は速さを増していた。
足ががくがくして、私は柱にすがりつくようにしてかろうじて立っていた。



「ひっ!」



不意に背中を叩かれ、振り向くと、そこには浮かない顔をしたシュウさんが立っていた。



「どうかしたのか?」

「あ、あの…ジョーさんが探してましたよ。」

私にはそういうのが精一杯で…



「ジョーが?そうか、ありがとう。」

シュウさんはゆっくりと歩き出した。



シュウさんが…あと一年の命?



そんな…信じられない。
でも、今、私ははっきりと聞いた。
まだショックから覚めずに、私は震える足を懸命に支えていた。