「疲れたでしょ?
お茶でも飲もうか?」

「う、うん、そうだね。」

デートの時の飲食代は、全部純平君が払ってくれてる。
それだけでも、心苦しいのに、今日はプレゼントまでもらってしまった。
良いのかな?
こう言うのって、カップルにとったら普通のことなのかな?



「ぶらぶらするのも楽しいね。
これもひかりちゃんと一緒だからかな。」

もうっ、純平君ったら、何を言うんですか。
照れるじゃないですか~!
顔が熱くなるのを感じながら、へへへと笑った。



なんか幸せだな…
彼氏がいるって、こんなに幸せなことだったんだな。
……なんて、ちょっと浮かれすぎ??



「ねぇ、純平君、新人さんの方はうまくいってるの?」

「実は、続かなかったんだ…」

「え?」

「やめちゃった…残念だよ、これからってところだったのに…」

「そうだったの…」

最近、えらく時間があるなと思ってたけど、そんな理由があったのか…
純平君、新人さんの指導、頑張ってただけに、がっかりしただろうな。



「言ってくれれば良かったのに…」

って、言ってもらっても、こんな私には何もしてあげられないけど、話くらいは聞いてあげられたのに…



「ありがとう…でも、仕方ないことなんだ。」

「私なんかじゃ頼りにならないけど、悩みがあったらなんでも話してね。」

「うん…ありがとう。」

なんだか歯切れの悪い返事…
やっぱり私になんか話してもどうにもならないって思ってるのかな?
ま、実際、私は頭も良くないし、力もないから本当に話を聞くことだけしか出来ないけど…



それからまたぶらぶらして、夕食を食べて…
がたんごとんと電車に揺られて、ちょっとうとうとしているうちに、いつの間にか最寄り駅に着いた。



「遅くなっちゃったね。
暗いから商店街のところまで送るね。」

「ありがとう。」

駅から、小さな公園を抜けて行こうとしたら、純平君がちょっとベンチに座ろうって言い出して…



座ったらいきなり抱きしめられてびっくりした。



「ひかりちゃん…大好きだよ。」

そんな甘い言葉にも喜ぶ余裕すらなくただ驚いていたら、私の唇に突然、柔らかなものが重なった。



「……ごめんね。」

「う、ううん。」

何が起こったのかくらいはわかってたけど…
とにかく心臓が破裂しそうになってたから、それだけしか言えなくて…



私はもう混乱しすぎて、どう反応したら良いのかもわからなくて、
ただ茫然とするしかなかった。