「……というわけで……
残念ですが、シュウは、美幸のことを何とも思っていないようです。
一体、どうすれば良いんでしょう?」

シュウとドライブをした次の日、俺は、野々村さんと大河内さんを呼び出し、その時のシュウの様子を話した。



「そうか…しかし、そう悲観したもんでもないぞ。
これから、なんとかすれば…」

「しかし、シュウはカリスマホスト、シュウの周りには常に綺麗な子や可愛い子が山ほどいる。
それに引き換え、美幸は一般よりも低いレベルだ。
シュウが、そんな美幸に惚れる道理はないのでは。」

「男女の縁というものは、何も見た目だけじゃありませんぞ。
そう…シュウとひかりには忘れられたとはいえ、元々、強い絆があるんです。
だからこそ、この広い日本でも出会うことが出来たんじゃ。
これからどんな奇蹟が起きるかわかりませんぞ。」

「じ、実は……」

「なんじゃな、野々村さん……」

野々村さんはなにか言いにくいことでもあるのか、戸惑った様子でもじもじしていた。



「野々村さん…!」

「は、はい、実は、昨夜、ひかりさんからお電話がありまして…」

「ひかりがどうかしたのか?」

「はい、昨日、純平さんから電話があって、それで……お二人でカラオケに行かれたそうなんです!」

「なんとっ!」

「ものすごく楽しかったって…そりゃあ、ひかりさん、とても嬉しそうに話されていて…」

野々村さんの言葉に、その場の空気は暗く沈んでしまった。
あれだけ気をつけていたのに、いつの間にかこんな不意打ちをくらっていたとは…



「美幸の奴…昨日は何も用事はないって言ってたのに…」

「なんでも、純平さんの用事がキャンセルになって、時間が出来たからひかりさんを誘われたみたいです。」

「なんということじゃ…」

大河内さんは、大きなため息を吐き出した。



「これでまた一段と純平との仲が深まったと考えて間違いなさそうですね…」

「い、いや…まだこれからじゃ!
きっと手はある…!」

大河内さんはそう言ったが、俺にはやはり無理なような気がする。
今のシュウと美幸ではあまりにも不釣り合いだ。
純平と付き合う方がまだずっと自然だ。
大河内さんの想いはわかるが、その想いはやはり叶わないような気がしていた。