「なぁ、純平ってどういうやつなんだ?
見た感じはあんまりぱっとしない感じがしたけど…」

「ぱっとしないはひどいな。
あいつは良い奴だ。
確かに、話もあんまりうまい方じゃないし、ついてる客もそれほど多いってわけじゃないけど、なんでもこつこつ真面目にやるタイプの人間だ。
心配は出来ると思う。」

「でも、あのひかりがホストなんかとうまく付き合えると思うか?」

「ホストを目の前にして、ホストなんかとはなんだ。」

「あ、すまない…そういう意味じゃなくて…」

「……わかってるよ。
もし、あの二人が本気でお互いのことを好きになったとしたら…
それはそれできっとうまくいくと思う。
ひかりちゃんが、純平の仕事を十分理解するか、あるいは純平が仕事をやめれば、結婚だって……」



(結婚……)



自分で言った言葉に、また不快なものを感じてしまった。
二人のことがやけに現実的で生々しく感じられたからだ。



「結婚って…あの二人はそんなところまで行ってるのか?」

「そんなこと知るもんか。
ただ……話のなりゆきっていうか、なんていうか…」

「純平から、そういうことで相談を受けたことはないのか?」

「それはない。
誰と付き合うとか、そんなプライベートなことは、よほどの問題でもない限り、言う必要もないだろう。
まぁ、本当に結婚でもするようなことになればきっと話すだろうけど…」

なんだろう…このイライラした気持ちは…
純平とひかりがどうなろうと、そんなことは俺には何の関係もないのに…



あいつは、最初からこうだった。
あいつのことを想う度に、なにか気持ちがかき乱される。
好きだというわけでもない、ただの友達の妹ってことなのに、なぜ、こんな気持ちになってしまうんだろう…