「かんぱーい!」

それからも何度か高坂と会った。
店に遊びに行ったこともあるし、家に呼んだこともあった。
そして、今日は大河内さんの家でのパーティだ。



「いや~、しかし、シュウのお師匠さんが和彦さんのお父さんだったとは、なんとも不思議なご縁ですなぁ…」

「本当にびっくりしましたよ。
まさか、会えるなんて思ってもみませんでしたから。
しかも、俺の息子同様のシュウの友達だったなんて…」



ここ数日は、特に真面目な話はせず、飲んで騒ぐばかりだったけれど、本当に楽しい時間を過ごしている。
まさに、気の合う友達だ。



高坂とごく普通に家族として育っていたら、きっと今の俺とは少し違った俺になってたんじゃないかと思う。
もっとのんびりした性格になってたんじゃないだろうか。
もちろん、孤独感等感じずに育てただろう。
だが、今更そんなことを言ったところでどうにもならない。
過ぎ去った時はやり直せるはずもないのだから。



「カズとカズさんは…あれ?なんか変だね。」

アッシュが無邪気に笑う。



「とにかく、カズとカズさんはそっくりってわけじゃないけど、でも、やっぱりどこか似てるよね。」

「そりゃあそうだろう。
俺のイケメンのDNAは和彦にも伝わってるはずだからな。」

「自分で言う…!?」

「仕方ないだろ。
本当のことなんだから。」

高坂のジョークに、皆が笑った。



この人がいたら、こんな風に、いつも笑いに包まれた家庭になってたんだろうか?
また、そんなことを考えてしまった。



(きっと、楽しい家庭だっただろうな…)