高坂は、シュウの言葉に小さく笑った。
「俺は、和彦や真樹子を不幸にした。
俺は…家庭なんか持つ資格はないからな。」
ショックな言葉だった。
まさか、高坂がそこまで思いつめていたなんて…
「俺は何も不幸なんかじゃありませんよ。
母さんは確かに甲斐性があったし、経済的にも苦労したことはありません。
小さい頃は祖父母がいてくれましたし、寂しい想いもしませんでした。」
「だが…俺は……」
「義父も良い人ですし、俺のことを妹と分け隔てなく可愛がってくれました。
俺は何の問題もなく育ったんですよ。」
それは真実であり、嘘でもあった。
確かに義父は良い人だ。
俺のことを差別することもなかった。
ただ、それでも思春期だった俺はどこかなじめなくて、自分だけがよそ者みたいな疎外感を感じていた。
だが、そんなことは言えない…
そうなったのは、なにも高坂のせいではないのだから…
高坂を責めるつもりも少しもなかったから…
「俺は、今でもホストなんかやってる…
真樹子が知ったら、きっと幻滅されるだろうな…
だけど、俺はこの仕事に誇りを持ってる。
おまえ達を幸せにしてやれなかったことは申し訳なく思ってるが、その後の俺の人生はそんなに恥ずかしいものじゃない。」
そう話した高坂の顔はとても晴れ晴れとしたものだった。
「それは、俺も保証する。
カズさんのおかげで、俺は立ち直れたんだ。
カズさんがいてくれなかったら、今の俺はないんだから。」
「買いかぶり過ぎだ。
おまえはおまえの力でここまで来たんだ。」
「そうじゃない。
カズさんのお蔭だよ。」
二人のやりとりを見ていると、思わず頬が綻んだ。
俺は今のシュウが好きだ。
奴の生き方や感じ方に共感している。
それが、シュウの言う通り、高坂のおかげだとしたら、きっと高坂は良い奴なんだ。
俺にはそんな風に思えた。
「俺は、和彦や真樹子を不幸にした。
俺は…家庭なんか持つ資格はないからな。」
ショックな言葉だった。
まさか、高坂がそこまで思いつめていたなんて…
「俺は何も不幸なんかじゃありませんよ。
母さんは確かに甲斐性があったし、経済的にも苦労したことはありません。
小さい頃は祖父母がいてくれましたし、寂しい想いもしませんでした。」
「だが…俺は……」
「義父も良い人ですし、俺のことを妹と分け隔てなく可愛がってくれました。
俺は何の問題もなく育ったんですよ。」
それは真実であり、嘘でもあった。
確かに義父は良い人だ。
俺のことを差別することもなかった。
ただ、それでも思春期だった俺はどこかなじめなくて、自分だけがよそ者みたいな疎外感を感じていた。
だが、そんなことは言えない…
そうなったのは、なにも高坂のせいではないのだから…
高坂を責めるつもりも少しもなかったから…
「俺は、今でもホストなんかやってる…
真樹子が知ったら、きっと幻滅されるだろうな…
だけど、俺はこの仕事に誇りを持ってる。
おまえ達を幸せにしてやれなかったことは申し訳なく思ってるが、その後の俺の人生はそんなに恥ずかしいものじゃない。」
そう話した高坂の顔はとても晴れ晴れとしたものだった。
「それは、俺も保証する。
カズさんのおかげで、俺は立ち直れたんだ。
カズさんがいてくれなかったら、今の俺はないんだから。」
「買いかぶり過ぎだ。
おまえはおまえの力でここまで来たんだ。」
「そうじゃない。
カズさんのお蔭だよ。」
二人のやりとりを見ていると、思わず頬が綻んだ。
俺は今のシュウが好きだ。
奴の生き方や感じ方に共感している。
それが、シュウの言う通り、高坂のおかげだとしたら、きっと高坂は良い奴なんだ。
俺にはそんな風に思えた。



