赤い流れ星3

次の日、思った通り、シュウから電話があり、仕事の後で高坂に会うことになった。



「美幸、これからちょっと付き合え。」

「え?どこに?」

二人で会うのが気詰まりだと感じたからなのか、どうなのかはよくわからないが、俺はそんなことを口にしていた。



待ち合わせたのは、シュウの店の下の階にあるレストランだ。
俺達が行くと、そこにはもう高坂がいた。



「和彦、来てくれてありがとう。」

高坂は俺の片手を強く握りしめた。



「あの…妹の美幸です。」

「妹?…そうか…真樹子は再婚したんだな。」

「兄さん??」

「美幸ちゃん…初めまして。
俺は高坂隆二。
和彦の父親です。」

「えっ!兄さんの??」

美幸は驚いて、俺の顔をみつめていた。



「まぁ、とにかく座って。」

俺達は、高坂の向かい側に腰かけた。



「あぁ、夢みたいだ。こうして和彦と一緒に食事がとれるなんて…」

無邪気な人だと思った。
思ったままを口にする…
それとも、これもすべては俺を喜ばせるための嘘なのか?



「あ…」

俺達がオーダーをしていると、シュウがテーブルにやってきた。



「なんだ、おまえ…店は良いのか?」

「少しくらい大丈夫ですよ。」

シュウは、ワインだけをオーダーし、ゆっくりとそれを口に含んだ。



「ひかりちゃんも来てたんだ。」

「あぁ、一応、紹介しとこうと思って、連れて来た。」

「あ、あの……兄さんとはひさしぶりに会われたんですか?」

「あぁ、そうだよ。
和彦がまだ赤ん坊の頃に別れたっきりでね。
もう30年以上あってなかったんだよ。」

「すぐにわかりましたか?」

「わかったよ。
以前、和彦とモデルのことが騒がれたことがあっただろう?
あの時、名前を聞いて…そして画像を見て、びっくりした。
一目見ただけで、和彦に間違いないって思ったんだ。」

「そんなに長い間会ってないのにわかったんですか?」

「うん…俺はカンが良い方だからね。
間違いないって思ったよ。」

そう言って、高坂はどこか遠くをみつめるような目をした。