「ひかりちゃん、今良い?」

「うん、大丈夫だよ。」

野々村さんとしゃべってしばらくしてから、今度は純平君から電話があった。
今日はいつもより少し余裕があるらしく、他愛ない会話をいつもより少し長めに話せて、楽しかった。



「新人さんの指導はどう?
うまくいってる?」

「うん、まぁまぁだね。
彼もようやく仕事に慣れて来たし…
それでね…実は…」

「何?何かあったの?」

「実は、次の日曜日…僕もやっと休みがとれそうなんだ。
今までは、とにかく祐司のことで精一杯だったから、休みもあってないようなものでね。」

「そうなんだ…大変だったんだね。」

「うん、それで…良かったら…デートしてもらえないかな?って…」

「えっ!デ、デート…?」

びっくりして、スマホを落っことしそうになってしまった。
でも、考えてみれば、私達は一応恋人同士なわけで…
だったら、デートも当然なことで…



「ごめん…いやだった?」

「そ、そうじゃないの。
ちょっと、びっくりして…
まさか、そんなこと言われるなんて思ってなかったから…」

「え…でも、僕達は…」

「そ、そうなんだけど、まだ当分新人さんのことで忙しいと思ってたから。」

私は咄嗟にそんなことを言って、誤魔化した。



「うん、僕ももうしばらくは忙しいと思ってたんだ。
でも、祐司も頑張ってくれてるし…あと少し買い物に付き合ってやらないといけないんだけど、明日それを済ませたら、次の日曜からは暇になると思うんだ。」

「そ、そうなんだ。」

「まだどこに行くとかは決めてないんだけど…どうかな?」

「も、もちろん、行くよ!
嬉しいよ、純平君とデートなんて…なんかすごく緊張する!」

「本当?本当に会ってくれるの?」

「もちろん!!」