「おは……」



いつもの時間に起きて行くと、そこには誰もいなかった。
昨夜は、兄さん達、帰って来るのが遅かったみたいだから、きっとまだ寝てるんだろう。
仕方がないから、私はお湯をわかしてカップ麺を食べることにした。
まぁ、今日は休みだから良いけど、それにしたって、本当に遊び好きな人達だ。
特に兄さんはもういい年なのに…
結婚してたらこんなことはしてられないよ。
あ…だから、なかなか結婚しないのか!?
そういえば、忘れかけてたけど、あの人…なんて名前だったっけ?
兄さんの彼女とか言ってた…タカミ―さんに酷いこと言われた綺麗な人…
あの人とはどうなったんだろう?
あの人も所詮は、ただの遊び相手だったんだろうか?



ひとりでカップめんをすすって、居間でぼんやりテレビを見ていたら、アッシュさんがやって来た。



「おはよう、美幸ちゃん…ごめんね。
遅くなったけど、今から朝食を…」

「カップ麺食べたから大丈夫だよ。」

「そう?他の皆はまだ寝てるの?」

「うん。そうみたい。」

「そっか、じゃあ、朝食はもう少し後でもいいかな。」

そう言って、アッシュさんは大きなあくびをした。
アッシュさんもまだ眠そうだ。
どうやら、私の朝ごはんを心配してくれてたみたい。



「アッシュさんももう少し眠ったら?
昨夜はずいぶん遅かったんでしょう?」

「うん、まぁね。
KEN-Gが面白い所に案内するって言って、ボク達をホストクラブに連れて行ってくれたんだ。」

「ほ、ホストクラブ!?」

心臓がビクンとはねた。



「そう、けっこう近くなんだけど、すっごくゴ―ジャスなお店でね。」

まさかまさか…おじいさん…シュウさんのお店に行ったんじゃ……



「そ、そう?
な、なんてお店?」

「ルーチェって店なんだ。あ、ほら、カズと付き合ってた亜理紗…覚えてるでしょ?
亜理紗がカズと別れてから付き合ってるって言われてたホストがオーナーの店なんだよ。
シュウっていう人なんだけど…」

「そ、そうなんだ…」

心臓が口から飛び出しそうだった。
おじいさん、なんで兄さん達をホストクラブになんか…
アッシュさんの様子じゃ、私が何度もお店に行ったってことはバレてなさそうだけど、本当に大丈夫なんだろうか?
不安でたまらない気持ちになった。