「カズ…どこに行ってたんだよ?」

「あ、ごめんごめん。
僕が、夜景を見たいってカズを連れ出したんだ。」

「そうだったの?
急に出て行くから心配したよ。
しかも、なかなか帰って来ないし。」

「ごめんごめん。
ところで、僕達おなかすいてるんだけど、朝ご飯はまだ?」

「すぐに準備するよ。」



なんてことだ。
昨夜は、夜中に兄さんとネイサンさんが出て行ったって、マイケルさんが言って来て、しかも、二人ともスマホも持って行かなかったから連絡も取れなくて、気になって眠れなかったっていうのに、ただの夜遊びだったとは…
本当に人騒がせな人達だよ。



「美幸…今日はえらく早起きなんだな。」

「兄さん達が行方不明だって聞いたから、心配で眠れなかったんだよ。」

「美幸ちゃん、ごめんね。
昨夜はなんだかテンションがあがっちゃってね。」

ネイサンさんはそう言って微笑み、兄さんは決まりの悪い顔をしていた。



「さぁ、出来たよ。」

マイケルさんの声が飛んで、私達はテーブルに着いた。



「それにしてもどこに行ってたの?
そういうことなら、ボク達も誘ってくれればよかったのに…」

「そうだね。
あの時は思い付きで飛び出しちゃったから…」

「まぁ、ネイサンはまだしばらくこっちにいるんだから、その間に、皆で遊びに行こう。」

「そうだね。」

ネイサンさんは兄さんに向かってにっこりと微笑んだ。
なんだか、この人、妙に兄さんと仲が良いね。
こんな偏屈と気が合うとは、この人も実は偏屈なのかもしれないな。