赤い流れ星3

でも、無理っていった所で、それでも生きていかなきゃいけないわけで…
だから、母さん達が私に結婚をすすめる気持ちもよくわかる。
私が駄目な子だってことをよく理解してるから、私の将来を考えてのことなんだ。



だけど…
一度も恋愛をしないうちに、ただ、生活のためだけに親の決めた相手と結婚するなんてやっぱりいやだ。
昔はそういうこともよくあって…いや、それどころか顔さえ知らずに結婚した人もいて、それでもけっこううまくいくもんだって聞いたことはあるけど、昔の人と私とじゃ違う。
現代人の私には辛抱強さも真面目さもない。
好きな相手の一人もみつけられないでいて偉そうにって思われるかもしれないけど、それでもやっぱり結婚するなら好きだと思える相手が良い。
私にだって理想はあるよ。
ただ…それが高望みだってことは十分わかってるから言わないだけ。
特に、母さんは自分が失敗したもんだから、チャラい外見やイケメンが大嫌いで、私に紹介しようとしたのも、皆、昭和の真面目なサラリーマンって感じの人ばかりだった。
かなり田舎なおばあちゃんの家の近辺でも見た事ないような七三分けで黒縁眼鏡のおじさん達で…あれを見せられた時は正直ものすごく萎えた。
だから、ここに逃げてきた。
兄さんとはあまり仲が良いわけじゃないけど、私にはここしか逃げ場所がなかったから…



出来れば、新しく移り住んだこの土地で、理想通りのイケメンと燃えるような恋をして……
なぁ~んて……無理無理。
こんな私が、イケメンとつきあえる筈がない。そんなことわかってる。



(あ……そうだ……)



私は急に頭に浮かんだ質問を、携帯の画面に打ちこんだ。



『突然だけど、野々村さんに質問です。
野々村さんは、男性のルックスは気にする方?面食い?』

返事はすぐに戻って来た。
最近の野々村さんは、以前よりずっと返信が早くなった。



『それは好きな男性ってことですか?
だとしたら、私はどちらかといえば面食いかもしれません。
あ、でも、それは単に私の好みが…ってことですよ。
相手になんてしてもらえないのはちゃんとわかってますし、今までにお付き合いした人もごく普通の人ばかりでした。
美幸さんはどうなんですか?』



(……え?)



私はもう一度、携帯の画面を見直した。