赤い流れ星３

「賢者？賢者って…まさか、美幸が仲良くしていた…」

「そう、あの賢者さんです。」

信じられなかった。
小説の世界から、二人以外に賢者までがこっちに来ているなんて…



「そ、そんな、まさか…」

「本当です。
二人がこちらの世界に行った後も、門はまだ光り続けていたそうです。
それで、賢者さんは二人の行く末を見続けようと門の中に飛び込まれたそうです。」

「二人？じゃあ、やっぱりシュウもこっちに…それに、あの賢者までが…」

「カズ、どうしたんだい？」

「いや…今日、パーティにいた大河内さん…KEN-Gだが、あの人が小説の中のキャラクターだって…」

「なんだって？彼が小説のキャラクター！？」

ネイサンもまだ半信半疑のようだ。
俺だってまだピンと来ない。
だって、賢者のことはよく知っているといえば知ってるけれど、それは小説でのことだからどんな見た目なのかは知らない。
だから、大河内さんが賢者だなんて言われても、いまひとつよくわからない。
だが、野々村さんがこんな時に嘘を吐くとも思えない。



「それじゃあ、連絡してみて下さい。」

「わかりました。」

野々村さんは二階にあがり、その間、俺は心細い想いを感じていた。
野々村さんを信じたい気持ちはあるのだけれど、やはり野々村さんは俺の話を信じてなくて、それで俺達のことが怖くなって大河内さんを呼ぼうとしているのではないかと…そんなことを考えたりもした。



「すぐに来られるそうです。」

しばらく後に、野々村さんが降りて来てそう言った。



「ちょっとお茶をいれますね。」

野々村さんはそう言って立ち上がり、俺は心細い気持ちを抱えたまま、黙って座っていた。