「野々村さん、お腹減ってるんじゃない?
マイケルさん達はもうごはん食べたの?
私達、まだなんだよね。」

「僕達もこれからだよ。
すぐに用意するから待ってて。」

「待て。その前に美幸に話がある。」

出たよ…兄さんは本気で怒ってる。
ってことは、やっぱりおじいさんと一緒だったことを知られてるんだ、間違いない!



「はい。」

「美幸、もう一度聞く。
今日は誰と一緒だったんだ?」

私は観念した。



「野々村さんと…それから…おじいさん…」

私がそう言うと、兄さんはぴくりと眉毛を吊り上げた。



「……それだけか?」

兄さんはシュウさんや慎二さんのことも知ってるんだって直感した。



「それと、おじいさんの友達の人。」

どこまで知ってるかわからなかったから、私は曖昧に話した。



「なぜ、野々村さんと出かけるって嘘を吐いたんだ?」

「嘘じゃないよ。
野々村さんも一緒だった。ね?野々村さん?」

「は、はい。」

「だが、大河内さんが来ることも最初からわかってたんだろう?
なぜ、それを言わなかった?」

「兄さんは、おじいさんと会うと機嫌が悪いから黙ってたんだよ。
それから、私達、おじいさんが友達を連れて来ることは知らなかったんだよ。ね?野々村さん?」

私は兄さんに気付かれないように片目を瞑って合図をした。



「は、はい、本当です。」

「友達がおいしいスイーツのお店を知ってるからって言って、連れて来てたんだもん。」

「そいつはホストらしいじゃないか。」

「それも会ってから聞いた。
まぁ、聞かなくても見た目でもわかったけど…」

もう必死だった。
おじいさんと会ったことだけならともかく、ホストと知り合いだなんて知られたら、きっともう絶対におじいさんとは会わせてもらえなくなる。
だから、何がなんでもそのことは知られてはいけない!