「ただいま。」

「あ、美幸ちゃん…おかえり。」

居間に入ると、なんだかマイケルさんとアッシュさんの様子がおかしい。



「美幸…今日はどこに行ってたんだ?」

兄さんの機嫌が酷く悪い。
一体、どうしたんだろう?



「え?どこって…
甘いもの食べて、カラオケに行って…」

「……誰と?」

「え?」

おかしい。
今朝は野々村さんと遊びに行くって言ってあるし、その時は、兄さんもこんなに機嫌は悪くなかった。



アッシュさんとマイケルさんの様子もおかしいし、まさか…



私が嘘吐いたのバレてる??



「……あの…野々村さんと…
それと……」

「それと??」

やっぱりそうだ。
兄さんは知ってる。
私が、今日、シュウさんやおじいさんとでかけたのをなぜだか知ってる…!



「えっと、それは……」

どうしよう?
多分バレてるとは思うけど、もしそうじゃなかったら、墓穴を掘ることになる。
本当のことを言った方が良いのか、それとも…



「どうした?」

「え?だ、だからね……」



万事休す!
だけど、その時、家のチャイムが鳴った。



「あ、誰か来たみたい。」

私は慌てて玄関の方へ向かった。



「待て、美幸!」

兄さんの声も聞かずに私は玄関へ走った。



「あ!野々村さん!」

「美幸さん、手提げを忘れてらっしゃいましたよ。
お財布が入ってたので、持ってきました。」

「野々村さん…」

「あ、青木さん、こんばんは。」

何てタイミングが良いんだろう?
私は野々村さんを抱きしめたいくらいだった。



「では、私はこれで…」

「野々村さん!せっかくだから寄って行ってよ!」

「でも、私、表にタクシーを…」

「そんなの帰ってもらえば良いよ。
帰りはタクシーをまた呼べば良いんだし。ね?」

私は無理を言って、野々村さんをあがらせた。
ピンチなんだもん!
ここで野々村さんが帰ってしまったら、大変なことになってしまう。